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2001年12月21日 小沢 一彦 |
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| 2001年の国際関係を振り返り、2002年の世界を占う | ||
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9月11日の同時多発テロと、それに対する「報復」戦争で埋め尽くされた2001年が終わろうとしている。21世紀に入ったにもかかわらず、人類はやはりこれまでの「歴史」の延長線上にしか物事を考えたり、処理したりしかできないようだ。同種間で殺し合い、他の生命と協調・共存できないという「ホモ・サピエンス」という種の有するDNA的欠陥は、当分改善される見込みはない。2002年も、「自我の暴走」による民族、宗教紛争に人類や地球環境は苦しめ続けられることになるだろう。今回の記事では、2001年の国際関係の総括をしておくとともに、来年一年の世界の主要な動向を占っておきたい。 まず、今年の総括であるが、やはり最大の潮流は冷戦崩壊後以降顕著になり出した、資本主義世界市場の拡大とウエストファリア体制以来の国民国家システムとのせめぎあいであった。換言すると、資本主義市場経済の拡大や現代化の流れと、それに抵抗する守旧派的思想である伝統主義・原理主義の間のせめぎあいであった。この両者間の矛盾の拡大は地球規模において引き続き進行し、その間の対立をいかに収拾しソフト・ランディングさせていくかが、人類社会全体の課題であるとも言える。 次に、主要国別に見て行くと、まずアメリカはブッシュ共和党政権の下で、米国の大企業や富裕層、そして軍部にとって有利となる単独行動主義的政策を内外で展開している。通商政策では、アメリカ資本の利益を代表して、地球上をグローバル(アメリカン)・スタンダードで染め上げアメリカ主導の世界資本主義システムに再編統合しているように見える。また、有力支持基盤(政治的クライアント)の1つである軍部に対しては、弾道弾迎撃ミサイル(ABM)制限条約を破棄してまでもミサイル防衛(MD)を推進することによって手厚いサービスを提供しているのではないか。今年のアメリカ外交は、民主党のクリントン政権時代の人権や、民主化、「ガバナンス」、地球環境問題に代わって、「タカ派」政権らしく、アメリカ単独の覇権体制の再構築を目指した軍事力主導の1年であった。 これに対し、米国の「同盟国」たる欧州連合(EU)は、共通通貨ユーロの普及も含め、域内統合を最優先した1年であったように思われる。「対テロ戦争」では、アメリカを全面的に支持しているものの、アフガニスタン以外への戦線の拡大には消極的な対応が目立つ。これ以上の戦線の拡大に加担するより、世界経済の回復に専念したいというのが本音であろう。高い失業率の問題や産業競争力の回復、移民の社会的吸収問題、社会保障や教育問題、そして、EUへの東欧加盟の拡大問題等、2002年はより内向きになってヨーロッパ域内での難問処理に取り組む時期となるのではないか。 「反覇権」ユーラシア連合であったはずのロシアや中国にとって、2001年は米国で発生したテロ事件によって、それへの対応を問われる一年となった。ロシアは、「対テロ戦争」において対米協力を鮮明にし、特にアフガニスタンでの戦争における北部同盟への支援で間接的に米国を助けた。この対米支援協力の実績を生かして、G8やNATO加盟への障害を取り除き、経済的メリット享受や国際的地位の向上につなげたいとの野心があるのであろう。アメリカ人のロシアに対する好感度の上昇によって、プーチン大統領のもくろむロシアの再大国化への動きに対しても、アメリカは一定の譲歩を見せるはずである。 一方、同じく「反覇権連合」であった中国も、この一年、天安門事件以降の人権外交や民主化の観点において国際的に最低の評価であった対外イメージを払拭し、WTOへの加盟も含めて国際政治における重要なプレーヤーとしての認知を勝ち取ったのではなかろうか。この両国にとっては、「対テロ戦争」においてアメリカとの関係改善が進んだ故に、今度はロシア・中国の2国間関係が冷え込むという矛盾を拡大させた一年でもあった。 最後に、2001年9月11日の同時多発テロの間接的震源地でもあった中東問題についても、コメントしておきたい。ウサマ・ビンラディン一味との「対テロ戦争」にかこつけて、イスラエルはパレスチナの地で「反テロ」を口実にさらに国益を拡大しようと画策しているように見える。イラクへの戦線拡大工作も含め、イスラエルが自国に有利なようにアメリカの外交政策をリードしようとしているのは明らかだ。このまま、パレスチナ側の自爆テロとそれに対するイスラエル側の近代兵器を用いた報復攻撃(一種の国家的テロリズム)が続くならば、それこそ新たな中東戦争への導火線ともなりかねない。2002年もこの地域の動向から目が離せない所以である。 DNA的(ハード的)にはそれほど差異のない似通ったセム・ハム族系でありながら、宗教というソフトウェアの上でユダヤ教とイスラム教に分裂してしまっているが故に、ユダヤ人とパレスチナ人は長年にわたって殺し合いを続けてきた。イギリス帝国主義による「2枚舌外交」の負の遺産により、いまだに国境の確定していない現状を考えると、この両者の間に平和の到来する兆しは当分の間見当たらない。「対テロ戦争」の遠因となっているイギリスの過去の中東政策を考えると、今回のブレア首相の積極的な対米協力姿勢についても納得がいくであろう。いくらイスラエルのシャロン政権がさじを投げたとしても、高齢のアラファト自治政府議長を交代させたくらいでこの数千年にわたる歴史問題が解決するわけではない。イスラエルという「国家」の存在そのものの歴史的正統性、合法性をいかに確立してゆくのか、強引に領土を奪われたパレスチナ人の「国家」をいかに建設してゆくのか、さらに、その両者の間の矛盾対立をいかに緩和し取り除いてゆくのか、問題は山積しておりその解決への道程は前途多難である。 結論として、来年に向けて確実に言えることは、「対テロ戦争」が中東問題と連動しながら続いていく可能性が高い以上、国際社会は当面「戦時体制」のまま推移するということだ。そして、世界が「戦争」という表層的現実に目を奪われてしまっている隙に、世界経済の矛盾(グローバリズムの歪)の解決がなおざりにされるなら、アルゼンチン発や日本発の世界同時恐慌といった最悪のシナリオに突入するといった危険性も排除できない。2002年の国際政治も世界経済も、当分の間、「危機管理」の観点をおろそかにしてはならない。 | ||
| 以 上 | ||
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