2001年06月28日

植木 博士
不良債権処理の遅れに苛立つブッシュ政権

 先日、2年ぶりにワシントンDCを訪問し、ブッシュ政権のホワイトハウス・スタッフたちと日米間の諸問題について意見交換した。そこで得た印象を3つ述べたい。

 まず、現政権では、チェイニー副大統領が得意の外交・国防分野のみならず経済分野でも実権を掌握している。外交分野においてタカ(強硬)派であるチェイニー=ラムズフェルド国防長官とハト(穏健)派のパウエル国務長官=アーミテージ国務副長官が対中国政策などで綱引きをしている最中であるが、現時点では前者が優勢と見られている。経済政策においてもチェイニーの影響力は大きく、親友であるグリーンスパンFRB議長とは緊密に連絡を取り合っているという。俄かには信じ難いことだが、チェイニーはグリーンスパンがホワイトハウスに自由に出入り出来るようにパス(通行証)まで発行しているという話を聞いた。4月の緊急利下げの際も、チェイニーは事前にグリーンスパンから知らされていたものの、経済政策担当のリンゼー特別補佐官は蚊帳の外だった。リンゼーは経済問題についてのブッシュの家庭教師的役割に止まっているという。また、オニール財務長官の評判も今ひとつ芳しくないようだ。

 2点目としては、米政権にとって低迷する景気建て直しが最重点課題であることは言うまでもないが、上院の主導権が民主党に奪われる中で共和党好みの政策は議会の承認が得られにくくなっており、経済政策は今後ますます中道色を強めざるを得ない状況にある。そうした一方で、共和党は前民主党政権の路線に不満が強かった外交分野における路線転換を明確化し、得点稼ぎを狙ってくる可能性が高い。特にタカ派のチェイニー、ラムズフェルドが主導権を握る外交政策は、日本に対しても安全保障分野で応分の責任分担を求めてくる可能性があろう。

 最後に、日本で改革志向の小泉政権が誕生した事についてブッシュ政権幹部は総じて期待を持って見つめているが、不良債権問題の進捗状況についてはかなり不満を強めているようだ。数ヶ月前は構造改革の旗手の如く見られていた柳沢金融担当大臣の評価も芳しくない。先に発表された経済財政諮問会議のいわゆる「骨太政策」の中で、整理回収機構(RCC)の機能拡充などを打ち出したが、専門家の間ではその効果を疑問視する声も少なくない。週末の日米首脳会談はおおむね和やかなムードで終始するものと見込まれるが、唯一不良債権問題については米国政府が具体的に注文をつけてくる可能性がある。

以 上  
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