1−3月期の実質GDP成長率は、前期比+1.3%増加(年率+5.3%増加)と大きくリバウンドした。
市場のエコノミストの平均予想は+0.6%であったから、予想比大きく上振れたと言って良いだろう。
米国の1−3月期の実質GDP成長率は年率+3.1%であったから、日本の経済成長が米国の経済成長を上回ったことになる。
その意味では、極めて高い成長率であったと言える。
景気の急拡大にもかかわらず、株式市場の動きは冴えない。
日経平均でみて11000円を挟む展開が続いており、大きく上抜ける気配はない。
外人投資家も1−3月期のGDP統計を材料に日本株を大きく買い増す姿勢を見せているわけではない。
なぜだろうか。それには、いくつかの理由がある。
米国における利上げ継続懸念、ハイテク在庫の調整の遅れ、中国経済の減速予想、などである。
そして、重要なことは、これらの悪材料を打ち消すほどの力が、1−3月期のGDP統計にはない、ということも問題なのである。
以下では、1−3月期のGDP統計が、表面的には景気の大幅回復を示していても、内容的にはあまり良くない、ということを解説しておこう。
まず、個人消費であるが、これは前期比で1.2%も成長した。
年率にすれば、5%近い伸びをしたことになる。
雇用が殆ど伸びておらず、賃金も前年比水準を挟んでウロウロしていることからすれば、極めて違和感の強い数字である。
やはり基本的には、昨年後半にマイナス成長となったことの反動であると読むべきである。
最近の消費者は、1月の年明けの値下げセールを待つ傾向があり、これが、個人消費の季節性を強くしている可能性もある。
一時的な高成長の後には反動が来る可能性が高い。
GDP統計と同時に公表された雇用者報酬のデータは、1−3月期に、個人所得が名目で1%以上減少したことを示唆している。
冬のボーナスは良かったが、給与の持続的な回復が生じていないことの証左である。
個人消費の持続的な回復が望めないことは明らかであろう。
夏までに個人消費が再び低迷する可能性が高い。
次に、民間在庫投資が大きく拡大したことも懸念材料である。
製造業の一部、つまり素材産業では製品価格が上昇しているが、過去と異なり、物価上昇期待によって企業が在庫を積み増しているとは考えられない。
むしろ、需要の減退ないしは生産調整の遅れによって、意図せざる在庫の積み上がりが生じてしまったと考えるのが妥当であろう。
在庫の積み上がりによって、4−6月期以降の生産活動に下押しの圧力が働く可能性が高い。
また、GDPデフレータ(GDP全体に対する物価指標)の前年比マイナス幅が拡大したこと(−0.4%から−1.2%)はマイナス材料である。
個人消費デフレータ、設備投資デフレータともにマイナス幅が拡大した。
足元では、再び物価に下押し圧力がかかり始めているのだ。
昨年4−6月期から10−12月期にかけて、GDPは低成長を継続させたが、その結果、経済の需給環境が悪化し、デフレ圧力を強めたことが確認されたと言えるだろう。
また、素材や石油製品価格の上昇等、いわゆる川上のインフレが川下の最終製品価格には十分に転嫁されていないことも明らかになった。
個人所得の反落は、川上のインフレが、企業の利益環境の悪化を介して、むしろ、賃金や雇用の伸び率を抑制している姿を現していると言える。
このように1−3月期GDP統計の内容は悪い。
4−6月期のGDP成長率は大きく鈍化するとみられるほか、循環的な調整圧力が最も強まると考えられる7−9月期には小幅のマイナス成長の可能性も十分にある。
さらに、これまでの利上げによって米国景気の減速がよりはっきりしてくれば、10−12月期も国内景気が大きく改善している可能性は低い。
年内は景気に慎重な見方を継続させた方が良さそうだ。