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2005年09月21日 白川 浩道 |
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| 改革の切り札は政府系金融機関統廃合 | ||
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国を動かすのは、小泉自民党ではなく、国民
小泉政権の過去4年を振り返った時、その政策の基本が構造改革ではなかったことに容易に気がつく。構造改革とは、経済資源配分の最適化と経済効率性の向上を狙って、旧来の経済システムを破壊することである。そこでは、既得権を守るものを容赦なく切り捨て、目に見えない参入障壁を取り払うことが、最優先課題になる。市場主義経済の競争原理が働くことで生産性が上がる一方、運が悪ければデフレを深刻化させる、というのが、構造改革の特徴である。 小泉政権の過去4年は、こうした構造改革政策に逆行する政策がことごとく採られてきた。経済構造を改革するのではなく、経済システムの変革を先延ばしにしつつ、景気の安定に全精力を注いできたのである。
以上でみたような、景気安定政策への傾斜は、実際のところ、誤った政策ではなかった。経済構造改革は先送りされたが、そのために、国内景気は安定し、デフレからの脱却が見えてきたからである。 経済構造改革とリフレ政策(デフレ退治政策)のいずれの政策を先行させるべきかと問われれば、それはリフレ政策である、と答えざるを得ない。なぜなら、構造改革を優先させるとデフレ圧力を高め、景気の長期停滞を招くため、痛みを伴う改革を次々に放棄せざるを得なくなるからである。 リフレ政策を先行させた場合、その帰結は全く逆になる。景気が長期停滞から抜け出せば、経済が構造改革に伴う痛みにある程度耐えられるからである。今回の衆院選のポイントは、冒頭でも述べたように、景気安定化の中で、国民そのものに経済構造改革を受け入れる準備が出来始めたということである。
国民の経済構造改革支持の姿勢が強まる中で、改革政策を先送りしてきた自民党には後がなくなった。その意味で自民党は今や崖っぷちに立たされたと言えるだろう。 郵政民営化法案は10月末までに国会成立することになるだろう。しかし、この法案の成立が改革意識を高めた国民を納得させられるかどうか、不透明である。 第1に、完全民営化の期限が2017年と12年も先の話であり、多くの国民はその時間の長さに改めで失望するであろう。 第2に、郵便事業・窓口業務に関する2社の株式を全額保有する、日本郵政株式会社(持ち株会社)については、そもそも完全民営化は想定されていない(2017年以降も特殊会社となり、一般の商法会社ではない)こと、その結果、過疎地を含め、郵便局の数が減ることはない、と聞き、多くの国民は首を傾げるであろう。
このように、郵政民営化に真の構造改革を見出すのはほぼ不可能であり、改革に飢えた(?)国民からは小泉政権への批判が強まるであろう。その結果、自民党は、痛みを伴う構造改革を、予定以上の速度で断行せざるを得なくなるであろう。 道路公団など特殊法人改革の面では既に行き詰っている。また、年金改革については、その屋台骨となるべき、消費税増税論を首相自らが封印してしまったこと、昨年に年金保険料率の引き上げを決めた直後であること、などを考えれば、共済年金と厚生年金の格差是正といった技術的な調整を除けば、当面、切るカードはないだろう。 そうなると、残る材料は、公務員の総人件費削減、ないしは、政府系金融機関の統廃合ということになる。 もっとも、公務員の総人件費削減は容易には進まないだろう。財務省が作成している資料(「国民経済に占める財政の役割(国際比較)」)によれば、日本の公務員人件費のGDP比率は7%弱と、主要先進国の中で最も低い(ちなみに米国は10%、イギリスは7.6%)。このため、「大幅な公務員人件費の削減は行政サービスの質の低下を招く」との議論が行われやすい。 したがって、新政権にとっての選択肢は政府系金融機関の統廃合しかない、と読まざるを得ない。そもそも郵政民営化によって、日本経済における資金の流れが変わるかどうか、全く不透明なわけであるが、そうした中で、公的金融の出口であり、財投機関の代表格である政府系金融機関を一気に整理すべき、という議論にモメンタムが付く可能性があると読みたい。 そして、この政府系金融機関の統廃合論は、実は、現在の株式市場のセンチメントにうまくフィットすると考えられる。外人投資家は、「デフレ脱却と構造改革進展のコンビネーション」を欲している。デフレ脱却期待は、そもそも、金融や不動産関連に対する投資意欲を刺激するが、加えて、政府系金融機関の統廃合の議論が出てくれば、民間銀行の収益改善期待が煽られ、日本株に対する投資意欲はさらに高まるだろう。国民に押し出されて出てくる、苦し紛れの改革案が、株価を押し上げる容認になりそうである。
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