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2005年10月14日 白川 浩道 |
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| 量的緩和解除論の行き過ぎを正す | ||
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これが、量的緩和政策の解除について、日銀が設定した第3条件である。 第1条件(数ヶ月以上に亘るコアCPI前年比のプラス化)、第2条件(過半数の政策委員によるコアCPI前年比プラス見通し)が満たされたにせよ、「量的緩和の解除が担保されたわけではない」という最終条件を規定したものである。 消費者物価の動きだけから金融政策を判断できるのであれば、そもそも、この第3条件など不要である。そして、仮に、第3条件が存在しないとすれば、中央銀行としての日銀の独立性は世界的に類をみない、極めて高いものになる。 しかし、第3条件が存在するのは厳然とした事実であり、これが消えてなくなることはない。筆者の理解では、第3条件は、以下に示す日銀法第4条が形を変えたものである。すなわち、第3条件は、日銀が、政府との協調の下においてのみ、量的緩和政策を解除し得るということである。市場関係者は、CPIの動きにのみ目を奪われるのではなく、この点を肝に銘じておく必要がある。
政府が日銀の量的緩和解除を承諾できるような、経済・物価情勢とはどのようなものであろうか。簡単に言えば、政府にとっての量的緩和解除の条件とは何なのであろうか。 個人的には、以下の3点が満たされてはじめて、政府としても、日銀による量的緩和解除に耳を傾けることになると考えている。CPIがプラス化することは政府にとって大きな意味を持たないのである。
これら、政府にとっての量的緩和解除の条件は満たされつつあるのであろうか。答えはノーである。 まず、来年度について、プラス2%超の名目GDP成長率を予想することは極めて困難であろう。世界経済が崩壊してしまうことはないにせよ、相次ぐ利上げの影響から、米国景気が大きく鈍化する可能性が高い。そうなれば、中国経済も減速するであろう。企業利益悪化で設備投資が縮小すれば、小幅の名目プラス成長ですら、その確保は困難かもしれない。 第2に、2004年1月以降、追加金融緩和が行われていないため、日銀のバランスシートの拡大は既に止まっている。このため、例えば、マネタリーベース残高の普通国債・FB残高に対する比率は低下の一途を辿っている。このことは、日銀の国債市場におけるプレゼンスが低下していることを意味している。こうした状態で、量的緩和が縮小された場合、クラウディング・アウトによって金利水準が急激に上昇し、不動産市場の調整によって景気が悪化する可能性が高い。従って、現状では、こうした事態を回避するための手段―日銀乗り換えの拡大や新たな国債引受措置の導入など―が必要であるが、それが議論されている様子はない。 第3に、国の一般会計分の税収は、8月現在、ごく僅かに前年を上回る程度であり、税収の持続的な拡大が視野に入ったとは言い難い。問題なのは、法人税収入は増加しているが、所得税と消費税の収入は減少傾向にあることである。
このように、政府からすれば、量的緩和解除を認められる状況には全くない。従って、仮に、2006年度中に、量的緩和の解除が行われるとすれば、それは、形式的なものに止まるだろう。 操作目標を当座預金ターゲットからオーバーナイト・コールレートに変更する一方、当初のターゲットをゼロ%とした上で、実際の当座預金残高は20-25兆円程度で運営する。これが、政府がぎりぎり譲れる「量的緩和の解除」である。なお、そうした形式的な量的緩和解除が行われるタイミングとしては、CPIの基準改訂を経た、2006年9月が有力であると考えている。
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| 以 上 | ||
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