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世界中の株式投資家の最大の関心事といえば、米国の金利引き上げがいつまで継続するのか、であろう。米国では、昨年6月から利上げが始まり、政策金利であるフェデラル・ファンド・レート(FFレート)は、過去1年間に1.0%から3.0%まで2%引き上げられた。こうした利上げが今後も継続すれば、米国経済が深刻な景気後退に陥るリスクがあるからである。景気後退となれば、株価の大幅下落は避けられない。
米国における利上げの継続は確かに怖い。利上げによって不動産市況が崩れた場合、超低金利と不動産価格の上昇をいいことに借金を増やし続けてきた個人の消費態度が急劇に冷え込み、これが景気を鈍化させることで、実際に個人破産を招き、さらにそれが銀行システム不安をもたらすという、負の連鎖が生じる可能性が高いからである。これは、まさに、日本が90年代初めのバブル崩壊で経験した悪夢なのである。
株式投資家の多くは、賢い米国が、あえて日本の二の舞となるような愚かなことはしないだろうと考えている。昨年半ばに始まった利上げ局面もそろそろ終りに近づいているという見方である。
証券会社の多くのエコノミストも、米国の雇用統計の改善が止まってきたこと、製造業の設備稼働率が低下傾向にあること、エネルギーを除いた場合、消費者物価の伸び率はやや低下していること、などを理由に、利上げは長くは継続しまい、との見方を強めている。簡単に言えば、そろそろ株に投資してもいいですよ、ということである。
しかし、そうした見方はやや楽観的であり、株価が底入れするという観測は甘すぎるかもしれない。それは、米国連銀のグリーンスパン議長(日本では日銀総裁に相当)が、当面利上げを継続させる可能性を示唆したからである。
キーワードは、フロス(FROTH)である。これは、あのデンタル・フロス(糸ようじ)でない。ビールなどの泡、アブク、という意味である。イメージから言えば、バブルが浴槽一面の大泡、フロスが生ビールを注いだときの、可愛らしい泡ということになる。
グリーンスパン議長は、米国の不動産市場を指して、フロスと呼んだのである。しかも議会証言で、である。なかなかのユーモアの持ち主と言えるが、彼は、「米国の不動産市場にバブルが起こる可能性は低いが、国内のいくつかの地域では、価格が必要以上に上昇してしまった、少なくとも、フロスと言える現象がみられる」と発言したのである。
不動産フロス。これは、吹き消した方が良い「有害現象」なのか。あるいは、放置できる「無害な現象」なのか。
同議長は今のところ明言避けている。株式市場では、今後数ヶ月、不動産フロスの話で持ちきりになるであろう。フロス=悪となれば、米国は利上げを継続させ、株価が世界的に暴落するかもしれない。フロス=ご愛嬌となれば、利上げは、早晩、打ち止めとなり、株価は上昇する。
筆者は、現時点では、明確な答えを持ちあわせていない。生ビール程度の泡であっても、それが気になる人間はいるからだ。株式投資には、当面、慎重さが要求される。フロスが時間とともに自然に消え、死語となるまでは、見極めが必要だ。
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