| 2004年04月30日 塚崎 公義 |
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| 景気回復と長期金利 | ||
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景気回復の足取りがしっかりしてきました。 金融システムリスクも遠のいています。 景気が回復しはじめると生産増→雇用増→所得増→消費増→生産増といった好循環がはじまるため、急激な円高でも来ない限りは、日本経済の回復は持続するでしょう。 景気の状況がこれだけ好転しているわりには、長期金利の上昇幅は比較的落ち着いたものにとどまっています。 第一の要因は物価が安定していること、第二の要因は、日銀が当分の間超緩和策を維持すると信じられていること、第三の要因は、債券投資のプロたちが「他の投資家も金余りなので長期債を買うだろう」と予想しあっていることでしょう。 筆者がみるところ、現在の長期金利は「あるべき水準」にくらべて低すぎると思います。 物価については、市場関係者が考えているほどデフレ圧力が残っているわけではありませんし、日銀も超緩和の持続を決め込んでいるのは景気の状況と比較して不自然です。 債券投資のプロたちも、「長期的に見れば長期国債を買うよりも短期国債を買い換えていく方がよいのかもしれないが、今期の成績をあげるためにはゼロ金利の短期国債を買うわけにはいかない」と考えて、やむを得ず買っている面もあるでしょう。 もっとも、こうした状態は、意外に長い間持続するのかもしれません。 物価は上昇に転じるでしょうが、インフレが気になるような状況は当分来ないでしょう。 中国の経済成長によって世界的な素材の需給は逼迫していますが、製品については中国が供給要因となっているため、むしろ世界的な価格を安定させる要因となっているからです。 日銀の金融緩和姿勢も、景気の回復度合いと比較すれば不自然なほどの緩和が続くと思われます。 このところ、日銀はスケープゴートとして非難を一身に受けてきました。 たとえば公共投資が減っている一方で金融を緩和しているのに、「景気が悪いのは金融緩和が足りないからだ」と言われてきたわけです。 こうした批判を和らげるため、これまで日銀は不必要なまでの緩和を行ってきました。 この流れに沿えば、今後も日銀は出来る限り長く超緩和を続けようとするでしょう。 差し迫ったインフレの懸念がない以上、そうするのが「組織としての利益」にもっともかなっているからです。 景気回復下の金融緩和は、景気を一層回復させ、税収を増加させ、財政赤字の縮小に寄与するでしょう。 景気の回復が法人税収の増加、所得税収の増加に加え、株高や地価の下げ止まりによる資産価格上昇を通じた諸税の増収をもたらすことを考えると、一般に考えられているよりも財政赤字の改善速度は速くなる可能性が高いでしょう。 そうなると、実際の長期国債の需給が改善するとともに、市場の思惑にも好影響を与えるかもしれません。 こうしたことから、金利は今後とも「景気の実態などと比べて低すぎる」状態が続くと思われます。 もっとも、これは日本経済の現状を考えると望ましいものと言えるでしょう。 金利が低ければ景気が順調に回復しますし、超円高が景気の腰を折るといったリスクも減るでしょう。 一方で、税の自然増収で財政赤字が減るほか、景気の状況によっては増税や歳出削減も進めることができるかもしれません。 「金利は低いままにとどめて、景気が過熱しそうになれば増税や歳出削減を行う」というポリシーミックスは、理屈上は望ましいものです。 政治的な困難さや機動性の問題などはありますが、小泉政権ならば意外と出来てしまうのかもしれません。 日本経済には久々に大型景気が到来するかも知れませんが、そのわりには長期金利が比較的落ち着いているということになるのかもしれませんね。
今ひとつの問題は、予想の範囲を超える大異変が起こる可能性です。 年率10%の大インフレが起きて金利が10%になる可能性はありますが、年率10%の大デフレが起きても短期金利はゼロまでしか下がりません。 このことを考慮すれば、「予想の範囲内で考えた将来の短期金利の平均」よりも長期金利は高くなるべきだと言えるでしょう。 10年という期間は、人々が想像もしていないようなことが起きるのに充分な長さです。 高度成長期の1970年に「今後10年で石油ショックが2回来る」と予想した人はいないでしょう。 第一次石油ショック後の1975年に「10年後は貿易黒字が増えすぎてプラザ合意で超円高になる」と予想した人もいないでしょう。 第二次石油ショック後の1980年に「10年後はバブルで日経平均が4万円になる」と予想した人もいないでしょう。 筆者も今後10年の短期金利を予想できるわけではありませんが、 市場参加者が「今が低金利であることに引きずられて将来の短期金利もそれほど上がらないと考えているとすれば、それは危険だ」ということは言えると思います。 |
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以 上
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