2000年11月27日

糟谷 英治
金融機関に対する統合的リスクマネジメントについて
 最終回の今回は、保険ブローカーが海外の大手金融機関に対して行っている統合的リスクマネジメントについて簡単にふれて、本シリーズを終えたいと思います。
  1. グローバル金融機関の統合的リスクマネジメントとは
    • 欧米先進企業のリスクマネジメントが、日本企業のそれよりは数段進んでいて、統合的管理と対策実施になっていることは、既にご説明した通りですが、金融機関ももちろん例外ではありません。
    • 金融機関のリスクマネジメントについては、既にBISのリスク・アセット・レシオという世界的な統一指標が導入され、その保有資産のリスクに応じた資本勘定を持つことが義務づけられています。そこに昨今、BISのバーゼル小委員会の提言を基に、新たに「オペレーショナル・リスク」という概念が導入され、それの洗出しと(保険を含む)適切な対応、資本手当てが求められるに至っております。
    • オペレーショナルリスクというのはやや曖昧な表現ですが、「金融機関が従来から管理してきた信用リスクやマーケットリスクを除く、人的要素に起因する全ての保有リスク」とでも定義できましょうか。
    • たとえば、担当者の社内権限逸脱のディーリング損失、金融商品の不適切販売に伴う損害賠償リスクなどは、皆様も実例がいくつも思い浮かぶのではないでしょうか。その他、海外での社員の誘拐リスク、従業員のセクハラに伴う訴訟リスク、株主代表訴訟リスクなども、広くこれに含まれてまいります。
    • 即ち、金融機関の真に長期的・安定的なリスク管理のためには、従来の信用リスク管理・マーケットリスク管理では不足で、これらのリスクもすべて把握・管理し、対策を講じ、必要な資本を準備しなければならないということになったわけです。

  2. 保険ブローカーと金融機関の統合的リスクマネジメント
    • 例えば私どもエーオン・グループは、金融機関のリスクマネジメントも得意分野のひとつで、ゴールドマンザックス社、シティーコープ社、ソロモン・ブラザーズ社、UBS社等々、グローバル・フィナンシャル・インスティテューションと言われている会社のおよそ半分以上と、世界の全オペレーションに係る「グローバル契約」を結んでおります。
    • 守秘義務の関係で、アドバイス事例などは申し上げられないのですが、様々なリスクを「有価証券のポートフォリオ管理」のようにみなして、そのバランスと分散に着目しながら、それぞれの金融機関に最も有効で経済合理性の高い解決手段を提供・アドバイスしていると申し上げさせて頂きます。海外でエーオンの金融機関担当者が対話をしている先は、旧来イメージの「保険実務担当者」ではなく、まさに経営陣であり、統合的リスクマネージャーであります。これも、企業のリスクマネジメントが、保険購入という技術的な次元をはるかに超えて、企業の経営そのものになっているからのことだからでしょう。
  • シリーズ22回にわたって、ご精読誠に有難うございました。企業のリスクマネジメントに関して、「海外の常識と日本の非常識」のようなものを少しでも感じて頂き、保険ブローカーという職種が海外で果たしていて、これから日本でも果たそうとしている機能を少しでもご理解頂くことができれば、これに勝る喜びはございません。なお、内容は全て私の個人的見解であって、エーオンという会社の見解ではない点お断りしておきたいと存じます。
以上
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